
「ハンドドリップってなんだか難しそう」と思いませんか?私も豆や道具の準備、ドリップの仕方がよくわからず、漠然と避けていました。ですが、基本さえ分かれば誰でも簡単に、美味しいコーヒーを淹れることができます。
本記事では、ハンドドリップの基本のコツと共に、世界チャンピオン粕谷哲さん提唱の『4:6メソッド』の具体的な淹れ方と味の調整方法をまとめています。
🟢4:6メソッドの淹れ方(結論・概要)
・粉量:20g(中粗挽き)/総湯量:300ml(粉量の15倍)
・湯温:浅煎り 92〜94℃/中煎り 87〜89℃/深煎り 82〜84℃
・前半40%(120ml=1〜2投目)で甘み・酸味、後半60%(180ml=3〜5投目)で濃度感を組み立てる
🟢注湯タイミング(私の実践・豆20g)
・1投目(0:00):60ml(蒸らし+抽出スタート)
・2投目(0:45):合計120ml(+60ml)
・3投目(1:15):合計180ml(+60ml)
・4投目(1:45):合計240ml(+60ml)
・5投目(2:15):合計300ml(+60ml)
・抽出完了:私の実践 3:00〜3:30(公式目安は3分半・かかっても4分)
・お湯が落ち切ったら次を注ぐのが原則(時間は目安)
※詳しい解説と挽き目目安は本文の『4:6メソッドの淹れ方』を参照。
ハンドドリップの基本のコツ
ハンドドリップはドリッパーと呼ばれる道具を使って、コーヒー粉にお湯を注いで抽出する淹れ方です。まずは基本となる4つのステップと、最低限そろえたい道具のコツをさらっと押さえておきましょう。
『4:6メソッド』をすぐ知りたい方はこちら。
基本となる4つのステップ
ハンドドリップの流れは、大きく4つのステップに分けられます。この流れを押さえれば、基本のハンドドリップができるようになります。

ハンドドリップの基本4ステップ
① 器具・豆の準備:ドリッパーにペーパーをセットし、挽いた豆を入れて軽くならす。
② お湯の準備:焙煎度に合わせて温度を調整(浅煎り92℃/中煎り88℃/深煎り82℃が目安)。
③ 蒸らし:粉全体にお湯を注ぎ、30秒ほど待つ。湯量の目安は粉量の2〜3倍。
④ 本注ぎ:2〜4回に分けて注ぎ、抽出する。一気に注ぐとすっきり、少しずつ注ぐとコクが増す。
各ステップで意識したい ちょっとしたコツ を整理すると、味の安定感がぐっと変わります。
- ①準備のコツ:ペーパーは円錐型ドリッパーなら継ぎ目を交互に折ってからセットし、湯通し(リンス)で紙のにおいを抜いておく。豆は飲む直前に挽くと香りが立ちやすい。
- ②お湯のコツ:沸騰直後のお湯は温度が高すぎるので、ケトルや別の容器に1度移して目安温度まで落とす。温度計がない場合は、沸騰後30秒〜1分待つと約92℃前後まで下がる。
- ③蒸らしのコツ:粉全体がしっとり濡れる程度の湯量で十分。中心から外側に向かって「の」の字を書くようにゆっくり注ぐと、粉が均一に膨らみガス抜けが進む。
- ④本注ぎのコツ:1投ごとに「お湯が落ち切ってから」次を注ぐと、湯量と時間の管理がしやすい。注ぐ位置は中心付近にとどめ、ペーパーに直接お湯をかけないようにする。
具体的な「何回に分けてどう注ぐか」は、後ほど紹介する『4:6メソッド』で詳しく解説します。基本の流れさえつかめば、あとは「豆の状態を見ながらドリップする楽しい時間」です。
必要な道具
ハンドドリップは、ドリッパーとペーパーフィルターさえあれば始められます。より美味しく、安定したドリップを目指したくなったら、ケトル・温度計・スケール・ミルなどを少しずつそろえていくのがオススメです。
| 道具 | エントリーモデル | 必要度 | 代替手段 |
| ドリッパー | HARIO V60透過ドリッパー02 | 必須 | 代替手段なし |
| ペーパーフィルター | HARIO V60用ペーパーフィルター | 必須 | サイズが合えば100均でOK |
| 細口ケトル | 無印良品 ドリップポット | あると便利 (優先度高) | 通常のポットやヤカン |
| 温度計 | 料理用温度計 (BOMATAなど) | あると便利 | ヤカンから移し替えて30秒〜1分待つ |
| サーバー | 無印良品 耐熱ガラスメジャーカップ | あると便利 | マグカップ、耐熱ガラス |
| コーヒースケール | Atlas コーヒスケール | あると便利 (優先度高) | 軽量スプーン 料理用キッチンスケール |
| ミル | TIMEMORE C2MAX | あると便利 | 市販の挽いた豆を購入 |
特に4:6メソッドを試すなら、円錐型のドリッパー(HARIO V60)とコーヒースケールがそろっていると再現性が一段と上がります。HARIOと粕谷哲さんが共同開発した 「V60 02 透過ドリッパー粕谷モデル KDC-02-B」 も、リブの形状が4:6メソッドのお湯の落ち方を意識しやすい設計になっています(HARIO公式ページ)。
初心者の方が 最初の一歩としてオススメ な組み合わせは、以下のとおりです。いきなり全部そろえる必要はなく、必須2点から始めて少しずつ拡張していくのが現実的です。
- HARIO V60透過ドリッパー02:円錐型の定番。リブ形状の自由度が高く、4:6メソッドにもそのまま使える。樹脂・陶器・耐熱ガラスとバリエーションがあり、最初は割れにくい樹脂モデルがオススメ。
- 無印良品 ドリップポット:細口で湯量がコントロールしやすく、価格も控えめ。最初の1本としてオススメで、IH対応モデルもあり日常使いに馴染みやすい。
- TIMEMORE C2MAX:エントリー手挽きミルの代表格。1万円前後で挽き目調整も均一性も十分。家庭で4:6メソッドを再現するならまずこれをオススメしたい。
- コーヒースケール(タイマー付き):4:6メソッドは「湯量と時間」で味を決める手法のため、0.1g単位で計れてタイマー一体型のスケールが特にオススメ。Atlas/タイムモアあたりが手頃。
各道具のさらに詳しい選び方は、別記事でまとめています。


ここまでが ハンドドリップの基本のコツ です。次は、初心者にもオススメの淹れ方として、世界チャンピオン考案の 『4:6メソッド』 を順を追って紹介していきます。
4:6メソッドとは何か
ハンドドリップの基本を押さえたら、次は 私もオススメする『4:6メソッド』 に進みましょう。これは、コーヒーバリスタの世界大会(2016年度World Brewers Cup)で優勝した粕谷哲さんが提唱しているドリップ手法です。総湯量を 前半40%・後半60% に分け、それぞれで味と濃度をコントロールします。
- 時間・湯量を決めてドリップするため、再現性が高い。
- 前半4割で 酸味・甘味・アロマ を、後半6割で 濃度感・ボディ感 を引き出せる。
- 湯量や回数の配分を変えれば、甘み・酸味・苦味の調整がしやすい。
「4:6メソッド」とは…
使うお湯の総湯量を40%と60%にわけて、それぞれで味と濃度の調整をする粕谷考案の画期的なハンドドリップの方法。
従来のようなお湯を注ぐなどの“ テクニック”による味の調整ではなく、注ぐお湯の量など“ 数字 ”で見える箇所での味の調整を可能にした革新的
な手法で、「誰でも簡単に美味しいコーヒーを淹れられる」というコンセプトから作られました。
また、使い方が簡単なだけではなく、非常に優れた味わいを作ることが出来るとして、世界中のトップバリスタをはじめとしたコーヒー愛好家たちに
愛用、支持されている抽出方法です。この4:6メソッドはWorld Brewers Cup 2016にて世界に披露され、簡単かつ革新的な手法とその優れた
味わいが評価されて、粕谷はアジア人初の世界チャンピオンに輝きました。
「お湯を注ぐテクニック」ではなく「湯量という数字」で味を組み立てるので、シンプルかつ再現性が高く、ハンドドリップの導入にぴったりの手法です。
私がハンドドリップにハマった、粕谷さん本人の解説動画はこちらです。
ぜひご覧ください。
4:6メソッドの淹れ方
ここからは、4:6メソッドを実際に再現するためのコツを順に整理します。成功のポイント→具体的な手順→私の実践手順(写真つき)→少量レシピ→ミル別の挽き目→味わいの調整方法、の流れで解説していきます。
4:6メソッドを成功させる3つのポイント
粕谷哲さんは、自身の書籍の中で4:6メソッドを成功させるために必要な要素として、次の3つを挙げています。

4:6メソッドを成功させる3つのポイント
① 挽き目はやや粗めにする(中粗挽き程度)
② お湯と粉の量を正確に計量する(コーヒースケール推奨)
③ 4:6(湯量の比率)を守る(前半40%・後半60%)
【出典】粕谷哲『誰でも簡単!世界一の4:6メソッドでハマる 美味しいコーヒー』技術評論社・2023年
どれも難しいテクニックは必要なく、道具と数字を守るだけで再現できる点が、4:6メソッドが「世界一簡単」と呼ばれる所以です。
この3点に加えて、粕谷さん本人がYouTubeの教科書動画の中で「守るべきポイント」として強調しているのが、お湯が落ち切ってから次のお湯を注ぐという点です。前のお湯が落ち切らないうちに次のお湯を重ねてしまうと、湯量と時間の管理が崩れて再現性が下がります。
【参考動画】粕谷哲「【教科書】世界を獲った伝説のコーヒードリップレシピ 4:6メソッドの全てをお伝えします!」(YouTube・26分34秒)
URL: https://youtu.be/lJNPp-onikk
淹れ方の手順(抽出回数・温度・時間と湯量)

4:6メソッドでは、抽出回数・お湯の温度・時間と湯量 の3点を押さえれば、再現性高く淹れられます。基本となるそれぞれの値を、順にご紹介します。
抽出回数
抽出は 5回に分けて お湯を注ぎます。粕谷さんも動画の中で強調しているとおり、前のお湯が落ち切ったら次のお湯を注ぐのが原則で、時間はあくまで目安です。私の環境では2投目以降はおよそ30秒間隔で落ち切ります。
前半の2投(合計湯量の40%)で「甘み・酸味」の方向性を、後半の3投(残りの60%)で「濃度感・ボディ」を組み立てるのがコツです。回数を増やせばコクが強く、減らせば軽やかになります。各投の役割と具体的な湯量は、後ほどの時間と湯量の表をご参照ください。
お湯の温度
お湯の温度の目安は以下です。
- 浅煎り:92〜94℃
- 中煎り:87〜89℃
- 深煎り:82〜84℃
焙煎度が浅いほど成分が出にくいので温度は高めに、深いほど苦味・渋みが出やすいので温度は低めに設定するのがコツです。温度計がなければ、沸騰後にケトルや別容器へ1度移し、30秒〜1分待つだけでも92℃前後まで落とせます。同じレシピでも湯温が5℃変われば味の方向性が大きく変わるので、まずは焙煎度別の基準値をそのまま試してみるのがオススメです。
時間と湯量
コーヒー豆(g)と湯量(ml)の関係表は以下となります。
なお、湯量はドリッパーに注いだ量で、コーヒー豆自体が水分を吸収するため、実際に抽出される量は少なくなります。具体的には、コーヒー豆30gに対して、450mlを注いだ場合、抽出できるコーヒーは、約380〜400mlとなります。
表の 時間は「次の投湯を始める目安タイミング」(私の実践値) で、湯量は その時点までの累計 です。お湯が落ち切ったら次を注ぐのが原則で、時間は目安。5投目を2分15秒前後に注ぎ終え、私の実践では3分〜3分30秒で落ち切ります。粕谷さんの動画では「3分半で落ち切る粉の粗さ・かかっても4分ぐらい」が推奨されています。
慣れないうちは、スマホのタイマーをセットしながら、表の数字どおりに注ぐだけで十分再現できます。
| 回数 | 時間 | 10g | 15g | 20g | 25g | 30g |
| 1投目 | 0:00 | 30ml | 45ml | 60ml | 75ml | 90ml |
| 2投目 | 0:45 | 60ml | 90ml | 120ml | 150ml | 180ml |
| 3投目 | 1:15 | 90ml | 135ml | 180ml | 225ml | 270ml |
| 4投目 | 1:45 | 120ml | 180ml | 240ml | 300ml | 360ml |
| 5投目 | 2:15 | 150ml | 225ml | 300ml | 375ml | 450ml |
| 終了 | 3:00〜3:30 |
私の実践手順(豆20gを写真で解説)
数字だけではイメージしづらいので、私が普段淹れている実際の流れ(豆20g・湯量300ml)を写真とともに紹介します。

① 器具・豆の準備:ドリッパーにフィルターをセットし、挽いた豆を入れてならします。円錐型・台形型など、ドリッパーに合ったフィルターを選び、接着部に沿って折っておくのがポイントです。

② お湯の準備:沸騰させたお湯を別の容器に移すと、適温(〜95℃)まで下がります。スペシャルティコーヒーなら浅煎り92℃前後・中煎り88℃前後・深煎り82℃前後、市販のコーヒー豆ならUCCレシピの92〜95℃が目安です。これは淹れ始めの温度で、その後は成り行きで問題ありません。

③ 蒸らし:蒸らしは、味を均一に引き出すための準備期間です。粉全体をお湯で湿らせて、注ぎ始めから45秒ほど待ちます(2投目0:45までが蒸らし時間)。

④ ドリップ:蒸らしのあとは、お湯が落ち切ったタイミングで次のお湯を注いでいきます。お湯の落ちる速さは挽き目や豆の鮮度で変わり、私の環境では30秒前後で落ちるため、2投目(0:45)のあとは 1:15/1:45/2:15 と約30秒間隔で60mlずつ注ぎ、3分〜3分30秒で完成です。
15g(1〜2杯分)の具体例レシピ
1〜2杯分の少量で淹れたいときの参考に、15gの具体例レシピを抜き出してご紹介します。
15gの4:6メソッド・基本レシピ
・粉量:15g(中粗挽き)
・総湯量:225ml
・湯温:浅煎り 92〜94℃/中煎り 87〜89℃/深煎り 82〜84℃
・1投目(0:00):45ml(蒸らし+抽出スタート)
・2投目(0:45):合計90ml(+45ml)
・3投目(1:15):合計135ml(+45ml)
・4投目(1:45):合計180ml(+45ml)
・5投目(2:15):合計225ml(+45ml)
・抽出完了:私の実践 3:00〜3:30(公式目安は3分半・かかっても4分)
・お湯が落ち切ったら次を注ぐのが原則(時間は目安)
1〜2杯分は粉量が少ない分、抽出のブレが出やすい量でもあります。湯温の管理と、お湯が落ち切ってから次を注ぐという基本ルールを守ると、安定して仕上がりやすくなります。
ミル別 挽き目クリック数の目安
4:6メソッドの「挽き目はやや粗め(中粗挽き)」を具体的にどのクリック数で設定すればいいのか、私が普段使っている手挽きミル「コマンダンテC40(現行はMK4世代)」での目安と、参考になる二次情報を整理しました。①と②はいずれも同じコマンダンテC40について、私の実際の設定とメディア紹介の一般目安を並べたものです。
① 私の実際の設定
私は普段、コマンダンテC40で 22〜30クリック の範囲で4:6メソッドを淹れています。浅煎りや中浅煎りでは20〜24クリック程度の細めの設定、中深煎り〜深煎りでは28〜30クリック程度の粗めの設定にすることが多いです。豆の鮮度や焙煎日からの経過日数によっても微調整します。
② コーヒー系メディアの一般目安
4:6メソッドを推奨するコーヒー系メディア「isseiogomori」では、コマンダンテC40 の挽き目目安として、浅煎り 30〜33クリック・中煎り 35〜38クリック・深煎り 37〜42クリック が紹介されています。
【出典】isseiogomori「コマンダンテ C40 MK4 のクリック数別 挽き目早見表」(URL: https://isseiogomori.com)
③ タイムモアC2(二次情報)
タイムモアC2(C2 / C2MAX)での4:6メソッド用の挽き目は、他サイトでは 24クリック 前後が紹介されています。私自身は未検証のため、まずはこの値からスタートして、味の傾向を見ながら前後1〜2クリック調整するのがオススメです。
焙煎度別の調整指針は、浅煎り=やや細め(成分を引き出す)、深煎り=やや粗め(雑味を抑える) が基本です。同じ豆でも焙煎所や鮮度で味の出方が変わるので、いずれのミルでも ±2〜3クリックで好みを探っていく 使い方が現実的です。粕谷さんも動画内で「3分半経ってもお湯が落ち切らないなら挽き目が細かすぎ、3分も経たずに抜けるなら粗すぎ」という判定基準を紹介しており、総抽出時間が挽き目チェックの物差しになります。
私が愛用しているコマンダンテC40については、別記事で詳しくレビューしています。

味わいを調整する3つの方法

コーヒーの味わいは、豆の種類や焙煎度、挽き目(粒の粒度)に加えて、コーヒーの淹れ方(ドリップ手法)で大きく決まります。4:6メソッドでは、抽出回数・お湯の温度・時間配分 の3つをコントロールすることで、コーヒー豆のポテンシャルを引き出しつつ、自分好みのコーヒーを淹れられます。ざっくり整理すると、抽出回数は濃度感とボディ、お湯の温度は苦味の押し引き、時間配分は全体のバランス を動かす調整レバーです。
調整方法①:抽出回数(分割数)
基本(5回で抽出)
- 1〜2投目(全体の40%):酸味・甘みなど、味の方向性を決定
- 3〜5投目(残りの60%):濃度感・ボディを調整
調整方針
- 濃厚な味わいを目指す(苦味やコクを際立たせる)→ 回数を増やす(6回以上)
- 軽やかさを目指す(酸味・甘味や口あたりの良さを際立たせる)→ 回数を減らす(3回程度)
後半60%の分け方は、次の早見表が目安です。PHILOCOFFEAの公開ガイドでは、後半60%を「1回で注ぐと軽く、2回でより強く、3回でさらに強くなる」と説明されています。
| 狙い | 後半60%の注ぎ方(豆20g・湯量300mlの場合) | 仕上がりの傾向 |
| 軽め | 180mlを1回で注ぐ | 軽くクリア・後味は短め |
| 標準 | 90mlずつ2回に分ける | 濃度感と透明感のバランス型 |
| しっかり | 60mlずつ3回に分ける | 濃度感・コク・余韻が伸びる |
なお、回数を増やしすぎると、濃度感ではなく水っぽさや渋みが混ざりやすくなります。コーヒー専門店 THE COFFEESHOP の検証記事でも、6分割で淹れた際の後半の投湯には渋みや水っぽさが増えたと報告されています。後半は最大3回まで にとどめるのが失敗しにくいです。
調整方法②:お湯の温度
基本(焙煎度に応じて温度を設定)
- 浅煎り豆 → 92〜94℃(高めの温度で酸味・甘みを引き出す)
- 中煎り豆 → 87〜89℃(バランスのとれた味わい)
- 深煎り豆 → 82〜84℃(低めの温度で苦味・渋みを抑える)
調整方針
- 苦味・コク・厚みを強調する → 温度を上げる
- 苦味を抑えて、酸味を活かした柔らかい味にする → 温度を下げる
温度を動かすときは 1〜2℃ずつ が基本です。5℃単位で大きく変えると、味のどこが変わったのか比較しづらくなります。
調整方法③:時間配分
基本(私の実践は3分〜3分30秒・公式目安は3分半で落ち切り、かかっても4分。お湯が落ち切ったら次を注ぐのが原則・時間は目安)
- 1投目:0秒
- 2投目:45秒
- 3投目:1分15秒前後
- 4投目:1分45秒前後
- 5投目:2分15秒前後
- 抽出完了:3分〜3分30秒
調整方針
- 苦味・渋み・コクを際立たせる → 後半の抽出時間を長くする
- 酸味・甘みを際立たせる → 前半の抽出時間を長くする
総抽出時間ごとの味の傾向は、次のとおりです。PHILOCOFFEA公式ガイドの基準(3分30秒)に、日本語の抽出解説(THE COFFEESHOP・堀口珈琲など)の目安を組み合わせた実践帯です。
| 総抽出時間 | 味の傾向 | 判断の目安 |
| 〜2分20秒 | 酸が尖る・甘さが薄い・後味が短い | 抽出不足寄りを疑う |
| 2分30秒〜3分 | 一般的なハンドドリップの基準帯 | バランスの確認に向く |
| 3分〜3分30秒(私の実践) | 4:6メソッドの基準帯(公式目安は3分半・かかっても4分) | 中粗挽きなら最も比較しやすい |
| 4分超 | 苦味・渋み・乾いた後味が出やすい | 抽出しすぎ寄りを疑う |
調整の順番と味のサイン
3つの調整方法をどの順番で試すか迷ったら、まず抽出回数で濃度感 → 次に時間配分 → 最後に温度で微調整 の順番が、味が変わった原因を切り分けやすくオススメです。そして、一度に変えるのは1つだけ が鉄則です。
味のサイン(THE COFFEESHOPの解説を参考に整理)
- 薄い・甘さが出ない・後味が短い・酸味がピリつく → 抽出不足のサイン。後半の分割を1回増やすか、挽き目を1クリック細かくする
- イガつく苦味や渋み・重い口当たり → 抽出しすぎのサイン。後半の分割を1回減らすか、挽き目を1クリック粗くする
私自身、エチオピア イルガチェフェ(浅煎り・ナチュラル)を4:6メソッドで淹れた際、前半の注湯を多めにしたところ、ブルーベリーのような甘い香りとフルーティーさが際立ち、酸味はまろやかで後味もクリーンに仕上がりました。数字を1つ動かすだけで味の方向性が変わるのが、4:6メソッドの面白さです。
私の実践記録(4:6メソッドで淹れた2パターン)
机上の数字だけではイメージしづらいので、私が実際に 4:6メソッドで淹れた2杯の抽出記録を抜粋して紹介します。どちらも個性の強い豆ですが、基本レシピを大きく崩さずに楽しめました。
パターン①:TAKAMURA「コロンビア カンポエルモッソ ピンクブルボン」
・焙煎度:浅煎り(LIGHT ROAST)/プロセス:ALEプロセス(発酵系特殊プロセス)
・粉量:20g/湯量:300ml/湯温:92℃
・挽き目:コマンダンテC40・22クリック(中挽き)
・抽出方法:V60+4:6メソッド
・印象:軽やかなビール感とパリッとした口当たり、若干の甘酸っぱさ。同じ豆を浸漬式(HARIOスイッチ)でも淹れてみましたが、4:6メソッドの方は 輪郭がはっきりした明るい味 に仕上がりました。
パターン②:元麻布焙煎所「パナマ ドン・エドゥアルド シンメトリー ゲイシャ」
・焙煎度:本焙り浅煎り/プロセス:カーボニックマセレーション ナチュラル
・粉量:20g/湯量:320ml(粉量の16倍)/湯温:94℃
・挽き目:コマンダンテC40・30クリック(やや粗め)
・抽出方法:4:6メソッド 3投(V60)
・印象:淹れたては丸い入り口に明るい酸味と甘い余韻、ベリー系のフレーバー。少し時間が経つとアフターが非常に長く、フローラルが際立ちます。冷めてからは酸味が効いて苦味ゼロ、深煎り好きにも驚きの味わいでした。
2パターンに共通するのは、豆の個性(プロセス・焙煎度)を活かしつつ、湯量と時間で輪郭を整える という4:6メソッドの強みです。普段使っている豆でも、抽出回数や温度を1つだけ変えてみると、味の方向性の違いがわかりやすくなります。
パターン①で使ったTAKAMURAのコロンビア(ピンクブルボン)は、別記事で詳しくレビューしています。

4:6メソッドのよくある質問(FAQ)
最後に、4:6メソッドについてよくいただく質問をまとめてご紹介します。
Q1. 4:6メソッドって「ヨンロク」「ロクヨン」どう読むの?
公式表記は「4:6(よん たい ろく)メソッド」ですが、実際には ヨンロクメソッド、ロクヨンメソッド、46メソッド、4対6メソッド など、さまざまな読み方で呼ばれています。どの呼び方でも同じ手法を指していますので、検索の際は呼び方を気にせず探してみてください。
Q2. 15gでも美味しく淹れられる?
はい、15gでも淹れられます。本文の 「15g(1〜2杯分)の具体例レシピ」 セクションで、湯量や時間の目安を表にまとめています。少量はブレが出やすいので、湯温の管理と、お湯が落ち切ってから次のお湯を注ぐという基本ルールを意識すると安定します。
Q3. コマンダンテ以外のミル(タイムモア・1Zpresso)の挽き目は?
本文の 「ミル別 挽き目クリック数の目安」 セクションで、コマンダンテC40・タイムモアC2 の目安を解説しています。1Zpresso シリーズ(Q2/K-Plus/J-Max など)はモデルごとに調整幅が大きく一概には言えませんが、4:6メソッドでは 中粗挽き相当 を狙うのが基本です。各モデルの取扱説明書や、メーカー公式の挽き目チャートを参考に、まずは「中挽きやや粗め」のセットからスタートして味を見ながら微調整するのがオススメです。
Q4. 深煎りでも使える?
深煎りでも使えます。粕谷哲さんはYouTubeのQ&A動画の中で、深煎り対応について次のように説明しています。
粕谷哲さん本人のコメント(Q&A動画より要約)
「深煎りは浅煎りに比べて成分が出ていきやすい。なので、後半の60%を2回ではなく3回に分けて、ちょっと濃度調整をするという工夫で使っています。」
【参考動画】「【Q&A】4:6メソッドのセミナーでよく聞かれる質問に対しての回答集」(YouTube・https://youtu.be/Gr-QoaJERiw)
深煎り豆は湯温を82〜84℃に下げた上で、後半の3〜5投目をやや小分け(合計3投)にすると、苦味と濃度のバランスを取りやすくなります。
Q5. V60以外のドリッパー(カリタ/オリガミ/クレバー等)でも使える?
粕谷哲さん本人は、Q&A動画の中で次のように説明しています。
粕谷哲さん本人のコメント(Q&A動画より要約)
「いつも言ってるのは、俺が死ぬほど検証しているのはこのV60です。他のドリッパーでも同じ量の検証はしていないので断言はできないですけど、多分他でも使えると思います。」
【参考動画】「【Q&A】4:6メソッドのセミナーでよく聞かれる質問に対しての回答集」(YouTube・https://youtu.be/Gr-QoaJERiw)
4:6メソッドは「湯量と時間」で味を組み立てる手法なので、ドリッパーの形状によって 落ち切るタイミングや湯抜けの速さ が変わります。V60以外のドリッパーで試す場合は、まずは基本レシピで淹れてみて、お湯の落ち方を見ながら次の投湯タイミングを微調整するとよいです。
なお、浸漬式のHARIOスイッチ(粕谷哲レシピ対応モデル)は、別記事で詳しくレビューしています。4:6メソッドとは違う「浸漬式」の楽しみ方として、あわせて読むと味の世界が広がります。

まとめ
本記事では、ハンドドリップの基本のコツと、粕谷哲さん考案の『4:6メソッド』を解説しました。同じ豆でも、淹れ方を変えるだけで全く違う一杯になります。最後に、本記事の要点をまとめます。
- 『4:6メソッド』は 湯量と時間を数字で管理する 再現性の高いドリップ手法。
- 成功の3つのポイントは 挽き目はやや粗め・粉と湯の正確な計量・4:6の比率を守る。さらに お湯が落ち切ってから次を注ぐ という基本ルールを守ること。
- 15gでも淹れられるし、ミル別の挽き目目安を押さえれば、お手持ちの道具でそのまま再現できる。
- まずは基本レシピで淹れて、抽出回数・温度・時間配分を 一度に1つだけ 動かしながら、自分好みの一杯を探してみる。
ちなみに、コーヒーの味わいはお湯の温度だけでなく「水」そのものでも大きく変わります。水にこだわりたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

ハンドドリップは難しそうですが、やってみると難しくありません。少しの工夫と繰り返しで、毎日のコーヒータイムがぐっと豊かになるハンドドリップをぜひ体験してみてください。

