浸漬(しんし:お湯に浸かった状態)と透過(とうか:お湯を注ぎ抜ける状態)の使い分けが簡単にできるHARIO 浸漬式ドリッパー『スイッチ』は、私にとって欠かせない器具です。
本記事では、スイッチの購入前後に詳しい情報を知りたい方に向けて、実際に使った経験も踏まえながら、スイッチの使い方として、構造、淹れ方、お手入れ方法について、徹底解説します。
以下の4点を押さえれば、HARIO 浸漬式ドリッパー『スイッチ』は迷わず使えます。
- 構造|ガラス本体・ホルダー・スイッチ・ステンレス球の4つ。200mL用はホルダー以外を単品で買える。
- 淹れ方①|取扱説明書のレシピ。お湯を注いで2分浸漬して、落とす。コーヒー豆が持つ味をしっかり楽しめる。
- 淹れ方②|オススメは粕谷哲さん考案のHYBRID METHOD。前半は透過で淹れて、後半は温度を落として浸漬。まろやかな口当たりが楽しめる。
- お手入れ|部品を全部外して洗える。食器洗い乾燥機にも対応。
※リンク先で200mL用/360mL用を選べます。
関連|サイズの選び方は『HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチのサイズの選び方』、オススメする理由は『HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチをオススメする3つの理由』にまとめています。
スイッチの構造
スイッチは、ガラス本体の下にあるホルダーのスイッチを操作することで、浸漬と透過の2種類の使い分けが可能です。スイッチで開け閉めするのは、ホルダーの中央にある湯の出口(お湯が落ちる穴)です。
① 部品は4つ
スイッチは、4つの部品でできています。
- ガラス本体|コーヒー粉とお湯を入れる部分。耐熱ガラス製。
- ホルダー|ガラス本体の下に付く部分。中央に湯の出口がある。
- スイッチ|上げ下げして、湯の出口を開け閉めする部分。
- ステンレス球|ホルダーの中で湯の出口をふさぐ金属の球。

- ガラス本体
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材質は耐熱ガラス「HARIO Glass®」で、耐熱温度差は120℃です。それでも急な温度変化には弱いので、途中で冷水を差したり、熱いガラスをぬれた布でふれたりしないよう、説明書で注意されています。
口径は200mL用が115mm、360mL用が136mmです。
- ホルダー
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材質はシリコーンゴムで、耐熱温度は180℃です。黒いゴムでしっかりした土台になっています。ホルダーは200mL用・360mL用で同じ仕様です。
寸法は、HARIOの公式ショップの回答では、袴(はかま)部分の直径が約103mm、下の出っ張り部分の直径が約61mm、高さが約23mmです。
- スイッチ
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材質はPCT樹脂で、耐熱温度は100℃です。スイッチ部品は両サイズ共通で、HARIOの公式ショップで単品でも買えます。
- ステンレス球
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材質はステンレス鋼です。ステンレス球がないとお湯がたまらず下から出てしまうので、洗うときになくさないよう説明書で注意されています。
公式ショップでは、3個セットで売られています。
② 浸漬と透過の切り替え方法
浸漬と透過は、スイッチの操作一つで簡単に切り替わります。
- 上げた状態(CLOSE:浸漬)|スイッチを上げると、ホルダーの中にあるステンレス球が湯の出口をふさぎます。この状態でお湯を注ぐと、ガラス本体にたまります。
- 平らな状態(OPEN:透過)|スイッチを押すと、ホルダーの中にあるステンレス球が持ち上がり、注いだお湯が落ちていきます。

なお、スイッチの操作自体は、少しの上げ下げで済みます。スイッチは操作した位置で固定されるので、指を離しても浸漬状態・透過状態が維持されます。
淹れ方① 公式レシピ
公式レシピは、取扱説明書に載っています。
このレシピの特徴は、淹れ方が安定することです。2分間の浸漬から透過へと手順が決まっているので、ハンドドリップで味のブレが出やすい湯量とタイミングを固定できます。
撹拌(かくはん)してみるときのコツ
説明書には「お好みで撹拌するとよりコクのあるコーヒーが抽出できます」とも書かれています。気になる方は、浸漬の間にドリッパーを回すように軽くふってみると、味の出方の違いを楽しめます。
やりすぎると粉が底にたまり、お湯の抜けが悪くなるので注意してください。
① 200mL用の公式レシピ
200mL用の淹れ方は、説明書では次の手順です。
- 準備|ドリッパーをサーバーかドリップ用スタンドにのせ、ペーパーをセットする。スイッチは上げた状態(CLOSE)にする。
- 粉とお湯|中細挽きのコーヒー粉20gを入れ、お湯をいっぱいまで注ぐ(約240mL)。
- 浸漬|そのまま2分程度、浸漬する。
- 透過|スイッチを押してドリップする(出来上がり量は約200mL)。
なお、説明書に湯温の指定はないので、コーヒー豆に合わせて温度を調整してください。参考までに、私が焙煎度ごとに使い分けている目安は次のとおりです。
- 浅煎り|92〜94℃
- 中煎り|87〜89℃
- 深煎り|82〜84℃
ペーパーはV60用ペーパーフィルター02を使い、通常のドリッパーと同じように、圧着部(チャック部)を折り曲げてから開いてセットします。

実際に200mL用で約240mLを注いでみると、ガラス本体の上端まではまだ20mLほどの余裕がありました。注いだあとは2分待つだけなので、その間にカップを温めたり、片づけを進めたりできます。
② 360mL用の公式レシピ
360mL用も手順は同じで、変わるのは粉とお湯の量、ペーパーのサイズです。
- 準備|ドリッパーをサーバーかドリップ用スタンドにのせ、ペーパーをセットする。スイッチは上げた状態(CLOSE)にする。
- 粉とお湯|中細挽きのコーヒー粉36gを入れ、お湯をいっぱいまで注ぐ(約440mL)。
- 浸漬|そのまま2分程度、浸漬する。
- 透過|スイッチを押してドリップする(出来上がり量は約360mL)。
湯温の目安は200mL用と同じです。ペーパーはV60用ペーパーフィルター03を使い、折り方とセットの仕方も200mL用と同じです。

実際に360mL用で淹れてみると、約440mLを注いだ時点でドリッパーはほぼ満杯になりました。スイッチを押してから落とし切るまでは約1分かかったので、浸漬の2分と合わせて合計3分ほどです。出来上がり量は、200mL用・360mL用とも、サーバーの目盛りで見ると公式の表示より1割ほど多めでした。
淹れ方② HYBRID METHOD
公式レシピとは別に私がオススメしたいのが、World Brewers Cup 2016 チャンピオン・粕谷哲さん考案のHYBRID METHODです。
前半は湯の出口を開けた透過で淹れ、後半はスイッチを上げた状態(CLOSE)にして、温度を下げたお湯で浸漬させる淹れ方です。

① 前半|90℃以上のお湯を透過で注ぐ
粕谷さんがこの動画で紹介している分量は、粉20g・お湯は合計280mLです。前半はスイッチを平らな状態のまま、次のように注ぎます。
- 粉|20g。挽き目は少し細かめで、粕谷さんはコマンダンテで20クリックくらいを目安としています。
- お湯|93℃前後(90℃以上)。
- 注ぎ方|30秒間隔で2回に分けて、合計120mLまで注ぐ。
粕谷さんは、この前半を4:6メソッドの最初の2回とほぼ同じと話しています。
前半の透過では、注いだお湯が粉を通り抜けながら落ちていきます。粕谷さんはこの前半で、味の出やすい最初の成分をしっかり取り出すと説明しています。

② 後半|温度を下げたお湯で浸漬する
後半はスイッチを上げて湯の出口を閉じ、お湯の温度を70〜75℃程度まで下げてから残りを注ぎます。
- 湯温を下げる|120mLを注いだら、ケトルに水を足して20℃くらい下げる(粕谷さんの実演では75℃くらい)。
- 1分15秒|スイッチを上げた状態(CLOSE)にして、合計280mLまで注ぐ。
- 1分45秒|スイッチを押して平らな状態に戻し、落とす。
- 3分前後|落ち切ったら完成。

注いだお湯はたまって浸漬になり、温度を下げた状態で成分を引き出せます。そのため、口当たりがまろやかになり、雑味が出にくくなるという組み立てです。
このレシピは少し手間がかかりますが、コーヒーの味を丁寧に引き出せる手法で、私も200mL用・豆20〜26gの分量でよく使っています。
関連|V60で淹れたときとの味わいの違いは、このシリーズの味わいの記事で扱います。
③ 豆の量を変えるとき|同じ比率で
粉の量を変えるときは、お湯も同じ比率(粉20gにお湯280mL)で増減すれば大丈夫です。前半の120mLと後半の160mLも、同じ割合で増やします。
- 豆26gのとき|比率で計算するとお湯は合計約364mL。計算値で、私が注いだ量を測って確かめた数値ではありません。まずこの量で淹れて、味を見ながら調整してください。
- 360mL用|このレシピで淹れたことはまだないので、分量はこの記事には書いていません。
関連|豆の量とサイズの関係は『HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチのサイズの選び方』にまとめています。
スイッチのお手入れ
説明書には、スイッチは部品を全部外して洗うことができ、食器洗い乾燥機にも対応していると書かれています。実際に私も、分解して食器洗い乾燥機で洗っています。
① 分解方法

スイッチを分解すると、ガラス本体・ホルダー・スイッチ・ステンレス球の4つに分かれて、それぞれ単体で洗えます。外す順番は、ガラス本体→スイッチ→ステンレス球の3ステップです。
ガラス本体は、回しながら倒す(折る)ようにすると外れますが、結構力が必要です。ステンレス球は最後に、ドライバーなどの細いもので押して外します。
なお、説明書では、ガラス本体とホルダーを着脱するときは、手袋などをするように指示されていますが、私は手袋を使わずに着脱しています。
ステンレス球はなくなりやすいので注意してください。
② 洗い方
洗うときに使うのは、やわらかいスポンジと中性洗剤だけです。説明書で使わないよう書かれているのは、次の4つです。
- クレンザー
- 研磨材入りのナイロンたわし
- スチールたわし
- 研磨材付きのスポンジ
理由も明記されていて、傷が入ると「思わぬときに破損する原因」になるからです。ガラスの内側を金属スプーンで強くたたいたり、こすったりするのも同じ扱いになっています。
食器洗い乾燥機は使えます。
③ 組み立て方法

組み立ては、分解の逆の順番です。ステンレス球をホルダーに入れてから、スイッチを戻し、最後にガラス本体をはめます。スイッチの戻し方は説明書の裏面に載っていて、手順は2つです。
- スイッチ先端の棒状の部分を、ホルダーの穴の中心に差し込む。そのまま柄の根元部分まで入れる。
- 裏返して、スイッチの凹部分をホルダーの穴の所定の位置にはめる。
スイッチを戻したら、上下に動くか、ステンレス球がしっかり上がるかを確かめてから、ガラス本体をはめます。スイッチが引っかかるときは、凹部分がはまっていません。
よくある質問
うまくいかないときに見る場所、使うときの注意、部品や付け替えのことをまとめました。

Q1. お湯がたまらないときは、どこを見ればいいですか
たまらないときに見るのは、スイッチが平らな状態のままか、ステンレス球が入っていないか、の2点です。
説明書では、浸漬するときは上げた状態(CLOSE)、ドリップするときは平らな状態にします。ステンレス球がないと、お湯がたまらず下から出ます。
Q2. ホルダーのまわりから漏れるときは、どうすればいいですか
ガラス本体がホルダーにしっかりはまっているかを確かめて、はめ直します。説明書にも「正しくホルダーにセットされていないと水漏れの原因になります」とあります。
初めて使うときは、粉を入れる前に水だけをためてみると、漏れないかを確かめられます。
はめ直しても漏れるときは、HARIOのお客様相談窓口に問い合わせてください。
Q3. スイッチを押すときに、倒れたりしませんか
サーバーの上でスイッチを強く押しすぎると、本体が倒れてヤケドする危険があると、説明書で注意されています。説明書の図にも「強く押さない」とあります。
スイッチは軽く上下に動かせば良いので、力はいりません。
スイッチが固くなったり外れたりしたときは、お手入れの「③ 組み立て方法」の手順ではめ直し、上下に動くかを確かめます。私は1年以上使っていますが、固くなったり外れたりしたことはありません。
説明書によると、お湯を入れたまま持ち運ぶとヤケドする恐れがあります。サーバーやドリップ用スタンドにのせてから注いでください。
Q4. 味が濃すぎる・薄すぎるときは、どうすればいいですか
粉の量・挽き目・時間で調整します。
説明書の分量は、200mL用が中細挽きの粉20g、360mL用が36gです。
説明書も「豆の挽き具合や浸漬する時間を調整して、お好みの味を見つけてみましょう」と勧めています。
Q5. 落ちるのが遅い・途中で止まるときは、どうすればいいですか
浸漬の間にドリッパーを回したり混ぜたりすると、細かい粉が沈んでペーパーの底にたまり、落ちるのが遅くなります。
落ちるのが遅いときは、お湯をゆっくり注ぎ、撹拌するときは軽く回す程度にしてください。
Q6. ペーパーは何を使えばいいですか
200mL用はV60用ペーパーフィルター02、360mL用は03を使います。説明書はSSD-200-Bに対して「HARIOの『V60用ペーパーフィルター02』をご使用ください」と指定しています。
付属は、200mL用がVCF-02W、360mL用がVCF-03Wで、どちらも40枚です。使い切ったら、同じ番号のものを買い足してください。
どちらのサイズを持っているか迷ったときの見分け方は、『HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチのサイズの選び方』にまとめています。
Q7. 手持ちのサーバーやカップに載せられますか
ホルダーの下の出っ張りがサーバーの口に収まるかと、スイッチを上げ下げできるすき間があるかで決まります。ホルダーの寸法は、「① 部品は4つ」のホルダーの説明に書いています。
HARIOのドリップポット・ウッドネック(DPW-1)には載せられるものの、高さがあるため不安定になると、HARIO公式オンラインショップの商品Q&Aで回答されています。
Q8. 別のドリッパーに付け替えられますか
付け替えられます。私は、ガラス本体を外したホルダーにV60 ドリッパー NEOをセットして使っています。
MUGENも、同じようにホルダーにセットして使えます。
Q9. 部品をなくしたり割ったりしたときや、土台だけ欲しいときは、単品で買えますか
スイッチ・ステンレス球・ガラス本体の3つは、HARIOの公式ショップで単品で買えます。価格はいずれも税込です。
スイッチはSSD スイッチ部品(品番 SW-SSD)が550円、ステンレス球はTDR/SSD ステンレス球3個セット(品番 SB-TDR-80)が770円です。ガラス本体はVDGF スペアボール(品番 B-VDGF-02)が1,650円です。
スイッチ部品とステンレス球は両サイズ用、ガラス本体(02)は200mL用です。
360mL用のガラス本体と、土台にあたるホルダー単体は、販売ページを確認できませんでした。必要なときは、HARIOのお客様相談窓口に問い合わせてください。
2026年10月12日の時点では、スイッチ部品とガラス本体が売り切れでした。在庫は変わるので、買う前に確認してください。
Q10. 取扱説明書をなくしたときは、どこで読めばいいですか
Q11. HYBRID METHODで、お湯の温度を下げるにはどうすればいいですか
粕谷さんの実演どおり、前半の120mLを注いだあとに、ケトルに水を足して20℃くらい下げます。粕谷さんの実演では75℃くらいでした。
水を足すのはケトルです。熱いガラス本体に冷水を差すのは、急な温度変化に弱いため説明書で注意されています。
温度計やケトルの温度表示で、70〜75℃程度になったことを確かめてから注いでください。温度計を使わずに待つ場合の時間の目安は、私は測っていないので書いていません。
Q12. HYBRID METHODは、360mL用でも同じ手順でできますか
手順は同じで、粉とお湯は粉20gにお湯280mLの比率で増やします。前半は透過、途中でスイッチを上げて温度を下げたお湯で浸漬、という流れは変わりません。
ただし、粕谷さんの動画も私の実践も200mL用です。360mL用で淹れたときの粉の量・お湯の量・所要時間は、私は測っていないので、この記事には書いていません。
まとめ
スイッチは、覚えることの少ない器具です。
構造・2つの淹れ方・お手入れの4点を押さえておけば、迷わず使えます。
この記事で押さえたことは、次の4つです。
- 構造|部品はガラス本体・ホルダー・スイッチ・ステンレス球の4つ。上げた状態(CLOSE)が閉じる側。
- 淹れ方①|取扱説明書の公式レシピ。200mL用は粉20g・お湯約240mL、360mL用は粉36g・お湯約440mLで、2分程度浸漬して落とす。
- 淹れ方②|HYBRID METHOD。前半は90℃以上のお湯で透過、後半は温度を下げたお湯で浸漬する。
- お手入れ|部品を全部外して洗う。食器洗い乾燥機にも対応。
まずは取扱説明書の公式レシピで1杯淹れて、慣れてきたらHYBRID METHODでお湯の温度を変えてみてください。同じ豆でも、口当たりの違いを楽しめます。
※リンク先で200mL用/360mL用を選べます。
あわせて読みたい記事は、次の4本です。
- オススメする理由|『HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチをオススメする3つの理由』
- サイズ|『HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチのサイズの選び方』
- 淹れ方|『4:6メソッドの淹れ方』
- V60|『HARIO 透過式ドリッパー「V60-02」の解説と4:6メソッドのレシピ』


