お客様を迎えるとき、オフィスで少し気分を変えたいときなど、インスタントより少し贅沢な一杯がほしい時に頼りになるのが、ドリップバッグコーヒー(ドリップパックコーヒー)。カップにセットしてお湯を注ぐだけで、挽いた豆から淹れた本格的な一杯が出せる頼りになるアイテムです。
ドリップバッグは、そのまま淹れても十分おいしい一杯になりますが、この記事でお伝えしたいのは、その十分おいしい一杯を、ちょっとしたひと手間で、もう一段引き上げる方法です。今回は、コーヒージャーナリストの岩崎泰三さんとWorld Brewers Cup 2016 王者の粕谷哲さんがオススメする2つの淹れ方を紹介し、パッケージに書いている公式レシピと飲み比べて感じたことを交えてお伝えします。
今回比較に用いたコーヒーはこちら。

ドリップバッグコーヒーとは|おもてなしにも使える実力

ドリップバッグコーヒーとは、1杯分(およそ8〜12g)の挽いた豆を、フィルター付きの小袋に密封した個包装のコーヒーです。カップの縁にセットしてお湯を注ぐと、ペーパードリップに近い抽出が完成します。
インスタントコーヒーが「乾燥させた粉をお湯で戻す」ものであるのに対し、ドリップバッグは実際に粉から抽出するという点で、味の成り立ちそのものがハンドドリップに近い設計です。だからこそ、お湯の注ぎ方や粉量ひとつで仕上がりが変わります。
だからこそ、お客様の前でも、オフィスのデスクでも、その場でさっと本格的な一杯を用意できるのが最大の強みです。カップと袋が見えるだけで、インスタントとはひと味違う印象を持ってもらえます。
ドリップバッグの3つの魅力
- 粉から抽出する本格派——インスタントと違い、挽いた豆にお湯を通してその場で淹れる
- 個包装で鮮度が長持ち——1杯ずつ密封され、賞味期限も半年〜1年程度が一般的
- 道具いらずで片付けも簡単——フィルターもドリッパーもミルも不要、後始末は袋を捨てるだけ
来客・おもてなしの一杯に
ドリップバッグがいちばん活きるのは、お客様を迎えるときだと感じています。急な来客にインスタントを出すのは少しためらう——そんなときこそ出番です。目の前で袋から淹れる所作があるだけで、一杯の丁寧さが伝わります。
オフィス・在宅ワークの合間に
デスクにお湯さえあれば、片付けはバッグを捨てるだけ。仕事の区切りに、香りのいい一杯でひと呼吸——そんな小さなごほうびに向いています。ミルもドリッパーも要らないので、職場でも気兼ねなく楽しめます。同僚に一杯出すときも、インスタントより気持ちのこもった印象になります。
出張・旅行・キャンプでも
個包装でかさばらないので、出張バッグや旅行の荷物にいくつか忍ばせておくと重宝します。ホテルの電気ケトル、キャンプで沸かしたお湯——淹れる環境が整っていない場所でこそ、本格的な一杯のありがたみが増します。屋外でも粉量と湯温を意識すれば、仕上がりが安定します。
美味しい淹れ方|公式レシピとプロ2人のレシピ

この章では、パッケージ袋に書かれている公式レシピとプロが動画で紹介している淹れ方を紹介します。
プロ一人目はコーヒージャーナリストの岩崎泰三さんで「濃く出す」淹れ方、もう一人はWorld Brewers Cup 2016 王者・粕谷哲さんで「浸漬式」の淹れ方です。アプローチは対照的ですが、どちらもドリップバッグを一段おいしくするヒントが詰まっています。
公式レシピ|袋の表示どおりに淹れる

プロのレシピを試す前に、まずは袋に書かれているとおりの一杯を知っておくのがオススメです。ここが基準になるので、あとで「濃くする」「なめらかにする」と動かしたときに、変化がはっきり分かります。
今回使ったAGF「ちょっと贅沢な珈琲店®」プレミアムドリップの袋には、次のように書かれています。
- 切って開ける……軽く振って粉をおとし、点線にそって切りとる。
- 広げてセットする……フックの下部をつまみ、左右に引っ張って広げ、カップのフチにしっかりかける。
- ドリップする……おすすめの湯量は140ml。お湯を粉全体に少量ずつかけて約20秒蒸らし、そのあと2、3回に分けてゆっくり注ぐ
「約20秒蒸らす」「2、3回に分けて注ぐ」などハンドドリップの基本と同じ記載があります。特に、一気に注いでしまうとお湯が粉の一部だけを通り抜けてしまい、粉から味が出きらないまま終わってしまうので、「蒸らし」は重要です。
岩崎泰三さんの「濃く出す」淹れ方(3つのコツ)

コーヒージャーナリストの岩崎泰三さんの淹れ方は、ドリップバッグを濃いめに、しっかりした味に仕上げるのが軸。ポイントは「粉を均一にする」「粉量を増やす」「熱めのお湯で淹れる」の3つです。
コツ1・開けたら中の粉を均一にする。
輸送や保管の間に粉が片側へ寄っていることがあったり、粉が固まっていたりします。この状態で注ぐと一部だけお湯が通り過ぎて、抽出にムラ(濃い・薄いの偏り)が出やすくなります。袋を軽く振るか、粉全体をふんわりほぐしてから淹れると、お湯が均一に行き渡り、狙いどおりの味に近づきます。
コツ2・粉量を増やす(濃すぎたら差し湯で調整)。
ドリップバッグはお湯が速く通り抜けやすく、1袋(8g前後)だと味が薄く感じられることがあります。泰三さんのレシピでは、しっかりしたボディが欲しいときは2袋分の粉を1杯に使います。濃く出すぎたら、後からお湯を少し足す「差し湯」で好みの濃さに整えればOK。純喫茶の濃いコーヒーと同じで、いったん濃いめに淹れて薄めて調整する考え方です。
コツ3・熱めのお湯で淹れる。
泰三さんのレシピでは、90〜96℃の熱めのお湯を使います。温度が高いほどコーヒーの成分がしっかり引き出され、味が濃く深く出ます。沸騰したお湯を少し落ち着かせてから注ぐ淹れ方もありますが、このレシピではあえて熱めをキープするのがポイントです。
なお泰三さんは、袋が抽出液に浸かった状態で淹れるときは「漬け込みは短く、落ちたら早めに引き上げる」とすすめています。浸かっているぶん濃く出やすいので、浸けっぱなしにしないのがコツです。
コーヒージャーナリスト・岩崎泰三さんのYoutube
ドリップバッグを濃く淹れる3つのコツ(均一化・増量・熱め)の解説です。
粕谷哲さんの「浸漬式」の淹れ方

World Brewers Cup 2016 王者の粕谷哲さんは、カップの中で袋を浸ける「浸漬式」を提案しています。お湯を通して落とす透過式だと細かい粉から雑味が出やすいので、あえて浸けて穏やかに抽出し、なめらかで雑味の少ない一杯に仕上げる考え方です。
動画のなかで粕谷さんが何度も繰り返しているのが、「入れ方じゃなくて、カップの選択で決まる」という一言。ポイントは「背の低いカップを使う」「お湯は90℃を超えていればOK」「20mlで蒸らしてから浸す」の3つです。
コツ1・「背の低いカップ」を用意する。
粕谷さんが「最も大事」と言い切っているのが、背の低いカップを選ぶことです。背が低い(浅い)カップなら、同じ湯量でもカップのフチに近いところまで液面が上がるので、袋の底が抽出液にしっかり浸かった状態——つまり浸漬の状態をつくれます。動画では「この背の低いカップを用意するだけで美味しくなると思う」とまで話しています。
サイズの目安は容量200〜240ml(迷ったら200ml前後)。動画では180mlまで注いで袋が浸る状態にしていました。「それ以降ちゃんと浸るものを選べば間違いなく美味しくなる」とのことなので、手持ちの器にお湯を注いでみて、袋の底が液面に届くかどうかで選べば十分です。背の低いカップは意外と身近にあるので探してみてください、とも話しています。
コツ2・お湯は90℃を超えていればOK。
粕谷さんが動画で使っているお湯は94℃。ただし「お湯の温度は90℃超えてれば全然大丈夫」と話しているので、神経質になる必要はありません。動画では、豆によっては85℃くらいまで下げてもいい、とも話していますが、面倒ならやらなくていい、というくらいの構えです。
温度計や温度調整つきのケトルを持っていない場合は、沸いたお湯をいったん別のケトルに移して、1分ほど待つ——これで適温になる、という手軽な方法も紹介されています。道具を増やさずに済むのがありがたいところです。
コツ3・20mlで蒸らしてから、袋が浸るまで注ぐ。
淹れはじめはタイマーをスタートさせて、まず20mlほどを注いでしっかり蒸らすところから。動画では30秒ほど蒸らしています。そのあとカップの中で袋の底が抽出液に浸かる高さまで注ぎ、しばらく置いてから引き上げます。
お湯を何回にも分けて丁寧に注ぐ必要はなく、浸かってさえいれば味は出てくれるのが浸漬式の気楽なところ。粕谷さんいわく「入れ方じゃないんだよ。もうカップの選択で決まっちゃうから」というわけです。
粕谷さんの浸漬式の一例(約180ml)
① 背の低い、容量200ml前後のカップを用意する
② 袋を開け、中の粉を軽くならす
③ 94℃前後のお湯を20mlほど注ぎ、30秒しっかり蒸らす
④ 続けて180mlまで注ぎ、カップの中で袋が浸かった状態にする
⑤ 約2分浸けたら、袋を引き上げる
※数値は動画で紹介されている目安です
World Brewers Cup 2016 王者・粕谷哲さんのYoutube
無印良品のドリップバッグを題材に「浸漬式」の淹れ方(94℃・30秒蒸らし・約2分浸けて引き上げる)を具体的な数値つきで解説しています。
浸漬式で大事なのは特別な袋を用意することではなく、袋の底が抽出液に浸かった状態をつくれるかどうかです。カギを握るのはカップの深さと湯量で、深いカップだと液面が上がりきらず、袋が浸からないまま終わってしまいます。実際、今回のAGFも同じ袋のまま、公式レシピと岩崎泰三式はカップのフチに掛けて透過で、粕谷哲式は背の低いカップに沈めて浸漬で淹れています。ハンドドリップの淹れ方をより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

3手法の飲み比べ|公式レシピとプロ2人のレシピ
淹れ方が違うと、同じドリップバッグの味はどこまで変わるのか。ここからは飲んだ印象とBrix・TDSの実測値の両方から、その差を見ていきます。
プロ2人の淹れ方と公式レシピで味がどう変わるのかを確かめるため、同じドリップバッグを「公式レシピ(袋の表示どおり)」「岩崎泰三式(濃く出す)」「粕谷哲式(浸漬式)」の3通りで淹れて、飲み比べてみました。
公式レシピと比べたとき、岩崎泰三さんのレシピで淹れた一杯は、どっしりと深く、純喫茶で出てくるような満足感のある味わいになりました。また、粕谷哲さんのレシピはしっかり抽出されている中で苦味が目立たず、なめらかな一杯になりました。
今回は3通りとも、ATAGO(アタゴ)の屈折計でBrix(屈折計で測る糖度)とTDS(液体に溶けているコーヒー成分の割合)を計測してみました。レシピと共に、一覧でご覧ください。
| 公式 | 岩崎泰三式 | 粕谷哲式 | |
| 方式 | 透過式 | 透過式 | 浸漬式 |
| 粉量 | 約8g | 約16g | 約8g |
| 湯温 | 約96℃ | 90〜96℃ | 94℃ |
| 湯量 | 140ml | 280ml | 145ml |
| 比率 | 約1:17.5 | 約1:17.5 | 約1:18 |
| Brix | 1.11 | 1.26 | 1.46 |
| TDS | 0.88 | 1.00 | 1.16 |
| 味の印象 | すらっと飲みやすく一番あっさり軽い | ボディーと苦味がしっかり・純喫茶系の濃さ | バランスよく飲みやすい・苦味が気にならない |
※比率・湯量・Brix・TDSは、今回私が実際に淹れて測定した数値です。岩崎泰三さんの動画は比率を指定していないため、公式レシピと同じ約1:17.5で2袋・大きめの一杯にしました。粕谷哲さんの動画(無印良品10g:180ml=約1:18)にならい、今回のAGF 8gでは同じ比率になる145mlで淹れています。
使ったコーヒーバッグ:ちょっと贅沢な珈琲店
今回使うのは、AGF「ちょっと贅沢な珈琲店® プレミアムドリップ 香り澄みわたるスペシャル・ブレンド」(上質なアラビカ豆100%使用)。袋の表示どおり、フックを左右に広げてカップのフチに掛けて使うタイプです。スーパーでも手に入る定番のドリップバッグを、あえて3通りで淹れ比べます。
3手法の淹れ比べ

飲み比べると違いがよくわかります。
- 公式レシピ……すらっとして飲みやすく、3つのなかでは一番あっさりと軽い印象。人によっては少し薄いと感じるかもしれません
- 岩崎泰三式……ボディーと苦味がしっかり出て、純喫茶で出てくるような濃さ。差し湯を少し足すと味が広がってやわらかくなり、これはこれでオススメです
- 粕谷哲式……バランスよく出て飲みやすく、苦味も気になりません。飲んでいるうちに70℃くらいの適温まで下がると、なめらかさがいっそう際立ちました
※粉量は公式・粕谷式が1袋、岩崎式が2袋。岩崎式の湯温は「熱め」が狙いです。
特徴的なのが、BrixとTDSの数値です。一番しっかり抽出されていたのは浸漬式の粕谷哲さんレシピ(Brix 1.46/TDS 1.16)で、次いで岩崎泰三さんレシピ(1.26/1.00)、公式レシピ(1.11/0.88)の順でした。
数値の上で一番濃く出ている粕谷式が、飲むと一番なめらかで飲みやすい——これは意外な結果でした。浸漬式は「しっかり出るのに角が立たない」とよく言われますが、その特徴が数値でもはっきり裏づけられた形です。逆に、あっさり軽いと感じた公式レシピがBrix・TDSとも最低というのも、飲んだ印象とそのまま一致しました。
3つを並べてみると、公式レシピ=一番軽い/岩崎泰三さんレシピ=純喫茶系の濃い苦味/粕谷哲さんレシピ=飲みやすいバランス型、と違いがはっきり出ました。YouTubeで粕谷さん・岩崎さんが語っている味の傾向が、実際に自分で淹れても同じように再現できたのが収穫です。濃いめの泰三式は差し湯で薄めると味が広がって柔らかくなるので、これはこれでオススメ。夕方16時ごろ、泰三式の純喫茶風の濃い一杯をゆっくり飲む時間は、ひと息つくのにちょうどよく、気持ちのいいものでした。
よくある質問
バッグが浸かってしまう・あふれるときは?
透過で淹れるときによくある悩みが、「お湯を注ぐうちにバッグの底が液面に浸かってしまう」「カップから湯があふれそうになる」という2つ。浸かったまま抽出が続くと、狙っていないところまで成分が出て、後味に雑味や重さが残りやすくなります。
これは専用スタンドなどの道具を買わなくても、淹れ方のちょっとした工夫で防げます。ポイントは次の5つです。
- 湯面はバッグの底より下に保つ——注ぎながらカップの中の水位を見て、底に届く前で一度止める
- 一度に注ぐ量を減らし、数回に分ける——落ち切るのを待つことで水位が上がりにくくなる
- 落ち切ったらすぐバッグを外す——最後の一滴が落ちたら引き上げ、余分な抽出を止める
- お湯はカップの八分目まで——あふれ防止。濃さは湯量ではなく粉量で調整する
- 深めのカップを選ぶ——液面とバッグの底に距離ができ、浸かりにくくなる(次の質問で詳しく)
なお、これは透過で淹れているときに、意図せず浸かってしまうのを防ぐ話です。粕谷さんの浸漬式のように、はじめから浸けて淹れる場合は、背の低い(浅い)カップで浸けて短時間で引き上げれば問題ありません。透過で淹れているときに「もっと濃くしたい」からと袋を浸けたままにするのは逆効果なので、濃さを上げたいなら泰三さんのコツのように粉量を増やすほうが、雑味を出さずに濃度だけを上げられます。
どんなカップを使えばいいですか?
今回使ったAGF「ちょっと贅沢な珈琲店®」プレミアムドリップの袋には、対応カップ 直径7〜9cmと明記されていました。手持ちのカップで迷ったら、まず袋の表示を確認するのが確実です。
「浸かる・あふれる」の根っこには、カップとバッグのサイズが合っていないという原因が隠れていることが多いです。ここを合わせておくと、淹れる前から失敗の芽を減らせます。
見るべきポイントは2つ。口径(カップの飲み口の広さ)と深さです。
- 口径:飲み口が表示より広すぎると袋の左右が届かず不安定になり、狭すぎると袋がカップの中に落ち込んで浸かりやすくなります
- 深さ:透過で淹れたい場合、浅いカップは少し注いだだけで液面がバッグの底に届いてしまいます。マグカップのように深さのある器のほうが、浸からずに淹れやすくなります
とくに粕谷さんの浸漬式で淹れるときは、逆に背の低い(浅い)カップを選びます。袋をあえて抽出液に浸からせたいので、同じ湯量でも液面が高くなる浅い器のほうが都合がいいからです。袋を買い替える必要はなく、器を替えるだけで浸漬にできます。粕谷さんも「入れ方じゃなくて、カップの選択で決まる」と話していて、容量200ml前後のカップを目安に挙げています。
ここは混乱しやすいところなので、整理しておきます。袋を浸からせたくない(透過)なら深いカップ、浸からせたい(浸漬)なら背の低いカップ——目的が真逆なので、選ぶ器も逆になります。同じ袋でもどちらもできるので、袋の型で悩むより、お湯を注いだときに袋の底が液面に届くかどうかを基準に器を選び分けてみてください。
BrixとTDSは何を測っているのですか?
今回の飲み比べで使ったのは、前の章と同じATAGOの屈折計です。淹れたコーヒーを数滴たらすと、表示部にBrixとTDSが並んで出てきます。むずかしそうな名前ですが、どちらも「その一杯がどれくらい濃いか」を数字にしたものと考えて大丈夫です。
- Brix……もともとは果物などの糖度を測るための指標で、液体を通る光の曲がり方(屈折)から求めます
- TDS……液体に溶けているコーヒー成分の割合。いわゆる「コーヒーの濃度」にあたる数値です
味の感想は、その日の体調や気分でどうしても揺れます。数字を残しておくと、「前回より濃く出たのか、薄かったのか」を後から確かめられるのが一番のメリットです。今回も、同じ豆・同じバッグで淹れ方だけを変えた3杯を、感覚だけでなく数値でも並べられました。
ただ、ひとつ気をつけたいのは「数値が高いほどおいしい」ではないということ。今回BrixもTDSも一番高かったのは粕谷哲式でしたが、飲んでみると一番なめらかで、角の立たない一杯でした。濃さと飲みやすさは別物で、数値はあくまでどう淹れたかの記録であって、おいしさの順位表ではありません。
もし屈折計が手元にあるなら、同じ豆・同じ器具で淹れ方だけを変えて測ってみると、自分のレシピがちゃんと再現できているかの手がかりになります。もちろん、なくてもおいしい一杯は淹れられるので、あくまで「答え合わせの道具」くらいの気持ちで十分です。
ハンドドリップとはどう使い分ければいいですか?
ドリップバッグとハンドドリップは、どちらが上という関係ではなく、シーンで使い分けるものです。私自身、自宅ではV60やスイッチでハンドドリップ、来客時や忙しい日にはドリップバッグ、という具合に自然と住み分けています。
ドリップバッグで淹れ方の勘所(粉量や湯温の効き方)が身につくと、本格的なハンドドリップへの一歩がぐっと軽くなります。もっと自分好みに淹れてみたくなった方は、まず必要な道具からそろえていくのがオススメです。

まとめ
ドリップバッグは、そのままでも十分おいしい一杯です。そこにプロの淹れ方のひと手間を加えるだけで、好みの方向にぐっと寄せられます。濃く深い味が好みなら岩崎泰三さんの「濃く出す」淹れ方、なめらかで雑味の少ない味が好みなら粕谷哲さんの「浸漬式」——タイプの違う2つを覚えておくと便利です。
- 公式レシピ:約20秒蒸らして、2、3回に分けて140mlを注ぐ
- 岩崎泰三式:粉を均一に→粉量を増やす→90〜96℃の熱めで淹れる(濃すぎたら差し湯)
- 粕谷哲式:94℃で20ml注ぎ30秒蒸らし→袋の底が浸る量まで注ぐ(今回の8gなら145ml)→カップの中で約2分浸けて引き上げる
- 透過か浸漬かはカップの深さと湯量で決まる。浸けて淹れるときは短めに引き上げる
- 浸漬式はカップ選びが決め手。背の低い(浅い)カップだと袋の底が浸る
来客のとき、オフィスのひと休みに、旅先の朝に。道具を増やさずに、いつもの一杯を丁寧に格上げできるのがドリップバッグの魅力です。まずは次の一杯で、気になったほうの淹れ方から試してみてください。

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もっと本格的にコーヒーを楽しみたくなった方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
粕谷哲さんの浸漬式が気に入った方へ。同じ考え方をそのまま器具で再現できます。

ハンドドリップを始めるなら、まずはドリッパー1つから。定番のV60の使い方です。

湯温が味を左右するのは、ドリップバッグでも同じ。温度を狙って作れるケトルの選び方です。

道具を増やさずに味を変えたい方へ。使う水を替えるだけでも風味は変わります。


