「最上級の甘味を澤井珈琲が探し求めた末に辿り着いたコーヒー発祥の地と言われるエチオピア逸品モカ」という言葉に惹かれて購入したのが、今回ご紹介する澤井珈琲の「クイーンシバ」。本記事では、その味わいを楽しむため、HARIOの2種類のドリッパー(V60、スイッチ)を使って飲み比べした結果をまとめました。
クイーンシバの深い果実の味わいをベースにしつつ、透過式のV60ではすらっとして苦味がしっかり、スイッチはまろやかで柔らかく甘いが感じられ、はっきりと味が分かれました。コーヒー濃度計(TDS・Brix)の実測値でもその差が確認でき、淹れ方によっても楽しめるコーヒー豆だと思います。
この記事が、自分好みの一杯を見つける参考になれば嬉しいです。
澤井珈琲
「クイーンシバ(QUEEN SHEBA)」
生産国:エチオピア
焙煎度:シティロースト(中深煎り)
品種・精製:公式表記なし
キャッチコピー:「ワインのようなエキゾチックな香味と最上級の甘味」
価格:200g ¥1,962/500g ¥4,643
(楽天・送料無料)
※澤井珈琲公式より
⬇️クイーンシバ以外も含む澤井珈琲おすすめギフト
【販売者情報】澤井珈琲とは?
澤井珈琲は、鳥取県で1982年(SINCE 1982)から続く自家焙煎のコーヒー専門店です。オンラインショップでの取り寄せに力を入れていて、ネットでコーヒー豆を買ったことがある方なら、一度は名前を見かけたことがあるかもしれません。
澤井珈琲の魅力は、注文を受けてから焙煎して発送してくれる新鮮さと、シングルオリジンからブレンド、カフェインレスまで幅広いラインナップです。割引セットやお試しセットも充実しているので、いろいろな豆を試したい方や、日常の一杯を探している方に向いています。
⭐️澤井珈琲のポイント
・鳥取・1982年創業の自家焙煎店
・注文後に焙煎して発送する新鮮さ
・シングルオリジン〜ブレンドが豊富
・割引セット・お試しセットが充実
【一般的な特徴】エチオピア中深煎り

エチオピアコーヒーの特徴
クイーンシバは生産国エチオピアのコーヒーです。エチオピアはコーヒー発祥の地ともいわれる産地で、標高の高い土地・火山灰質の土壌・昼夜の大きな寒暖差という条件がそろい、華やかな香りと果実のような甘みを持つ豆が育ちやすいとされています。
エチオピアのコーヒーは、明るい酸味・花のような香り・ベリー系の果実感といった言葉で語られる産地です。シダモやイルガチェフェのように地域名で呼ばれる豆も多く、地域や精製方法によって香りの出方は変わります。
中深煎り(シティロースト)とは
澤井珈琲公式では、クイーンシバの焙煎度はシティロースト(中深煎り)と紹介されています。エチオピアの豆は浅煎りで華やかに仕上げることも多いのですが、中深煎りに寄せると酸味がやわらぎ、甘みやコク、ほのかな苦味のバランスが取りやすくなります。
焙煎度は浅い順にライトからイタリアンまで段階があり、シティローストはその中間より少し深いあたりです。浅煎りは酸味と香りが立ち、深煎りは苦味とコクが強くなりますが、その間にある中深煎りは、酸味・甘み・苦味のバランスを取りやすいのが持ち味です。
⭐️エチオピア中深煎りの一般的な傾向
・果実のような甘みと香りが出やすい
・中深煎りにすると酸味がやわらぎ甘み・コクが前に出る
・ほどよい苦味とのバランスが取れる
【ご紹介】澤井珈琲「クイーンシバ」

なお、クイーンシバの品種と精製方法は、パッケージにも澤井珈琲公式サイトにも明記がありませんでした。ここは正確さを大事にしたいので、「ナチュラル製法」などと決めつけず、公式に表記のない項目として扱います。
①クイーンシバという名前の由来
「クイーンシバ(QUEEN SHEBA)」は、旧約聖書に登場する「シバの女王」にちなむ名前とされています。シバの女王はソロモン王のもとを訪れたと伝わる古代の女王で、エチオピアにはこの女王を自国の始祖とする伝承が残っています。エチオピア産の豆にこの名が付くのは、その土地の物語と重ねた呼び名と考えると分かりやすいです。なお、澤井珈琲が名前の由来を公式に説明しているわけではないので、ここでは一般に知られている伝承の紹介となります。
②クイーンシバの特徴
クイーンシバの味わいについて、澤井珈琲は2つの表現を使っています。パッケージには「ワインのようなエキゾチックな香味と最上級の甘味」とあり、楽天の商品ページでは「ベリーやブルーベリー、プラムのような華やかな香りと甘さ」と紹介されています。いずれも果実感と甘みを推した表現です。
私自身が袋を開けて感じた印象は、少し違いました。豆は茶褐色でツヤは控えめ。公式の「シティロースト(中深煎り)」という説明と大きくズレない焙煎度です。また、香りは華やかというより落ち着いた香りで、若干スパイシーさを感じました。公式が押し出す華やかな果実感というより、私には奥に何かが潜んでいる香りで、エキゾチックという言葉のほうが合てはまる印象です。
基本スペックを表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
| 商品名 | クイーンシバ |
| 販売者 | 澤井珈琲 (鳥取・SINCE 1982) |
| 生産国 | エチオピア |
| 焙煎度 | シティロースト(中深煎り) ※澤井珈琲公式より |
| 品種・精製 | 公式表記なし |
| 価格 | 200g ¥1,962/500g ¥4,643 (楽天・送料無料) ※価格は変動する場合あり |
| 購入先 | 澤井珈琲公式/楽天市場 |
③入手性
クイーンシバは、澤井珈琲のオンラインショップと楽天市場で買えます。店頭で見かける機会は少なく、基本はネットでの取り寄せです。
内容量は200gと500gがあり、楽天市場では200gが1,962円、500gが4,643円(いずれも送料無料・2026年8月時点)です。価格は変動する場合があるので、購入前に最新の値をご確認ください。
1gあたりで比べると500gの方が割安です。まず味を確かめたい方は200g、口に合うと分かってから常飲するなら500g、という選び方が分かりやすいと思います。
⭐️エチオピア中深煎りの一般的な傾向
・華やかさよりも、落ち着いた香ばしさのあるコーヒーが好きな方
・酸味が強い豆は苦手で、甘みとコクのバランスを取りたい方
・エチオピアの豆を、浅煎りとは違う表情で味わってみたい方
・同じ豆を淹れ方で飲み分けてみたい方
【レビュー】V60とスイッチの比較

今回はクイーンシバを、豆も挽き目もそろえたまま、V60(透過式)とHARIOスイッチ(浸漬式)で淹れ比べました。挽き目はどちらもコマンダンテC40の20クリックで統一。粕谷鉄さんのレシピを参考にしたため、ドリップ回数・湯温は変えています。
V60は4:6メソッドで92℃、スイッチはHYBRID METHODで93℃で入れており、「抽出方式の入れ替え」ではなく、それぞれの器具が得意な淹れ方での飲み比べです。味の差も「方式だけの差」ではなく、方式・レシピ・1℃の湯温差を合わせた総合的な違いとして読んでいただくのが正確です。まずは抽出条件を並べます。
| 項目 | V60 | スイッチ |
| 淹れ方 | 4:6メソッド | HYBRID METHOD |
| 方式 | 透過式 | 浸漬式 |
| 挽き目 | 20クリック | 20クリック |
| 豆量 | 20g | 20g |
| 湯量 | 300ml | 300ml |
| 湯温 | 92℃ | 93℃ |
| Brix | 1.68 | 1.72 |
| TDS | 1.33 | 1.37 |
| 味わいの印象 | すらっと・苦味しっかり | まろやか・柔らかい・甘い |
①今回の淹れ方
今回試したのは粕谷哲さん考案レシピ。
それぞれの器具に合わせて考案された淹れ方での味わいの変化を見ていきます。
- 4:6メソッド(V60):お湯を前半4割・後半6割に分けて注ぎ、前半で味のバランス、後半で濃さを決める透過式のレシピ
- HYBRID METHOD(スイッチ):レバーの開閉でお湯を溜める時間をつくり、浸漬と透過を組み合わせるレシピ
②ドリップで使った道具
共通の道具
- ミル:コマンダンテC40(20クリック)
- スケール:TIMEMORE
- ケトル:EPEIOS
- 濃度計:ATAGO PAL-COFFEE
4:6メソッドで使った道具
- ドリッパー:HARIO V60透過ドリッパー02
- ペーパーフィルター:V60用
HYBRID METHODで使った道具
- ドリッパー:HARIO スイッチ(200B)
- ペーパーフィルター:V60用(スイッチはV60と同じペーパーが使えます)

③コーヒー豆の準備

豆は2杯とも20gずつ計量しました。
挽き目はコマンダンテC40の20クリックで、中細挽き〜中挽き。透過式と浸漬式で挽き目を変えたほうが良いかもしれませんが、今回は淹れ方以外の条件をそろえたかったので、同じ設定のままにしました。
④V60での淹れ方(4:6メソッド)

V60は、お湯が粉の層を上から下へ通り抜けて落ちていく透過式のドリッパーです。
今回は粕谷哲さん考案の4:6メソッドで、湯温92℃で淹れました。お湯を落ち切らせながらドリップしていくことで、雑味が残りにくく、クリアで軽やかな一杯に仕上がりやすいのが透過式の持ち味です。V60本体や4:6メソッドの手順は、別記事で詳しく解説しています。


⑤スイッチでの淹れ方(HYBRID METHOD)

HARIOスイッチは、レバーで底の弁を閉じてお湯を溜められる浸漬式のドリッパーです。
今回は同じく粕谷哲さん考案のHYBRID METHODで淹れました。レバーを開けたまま93℃のお湯を注ぎ始め、途中でレバーを閉じて75℃のお湯を注ぎ足しながら浸し、最後にまたレバーを開けて落としきるレシピです。お湯に浸す時間があるぶん成分が出やすく、甘みやまろやかさが乗りやすいのが浸漬式の特徴です。サイズ選びや淹れ方は、別記事にまとめています。


⑥香り・口当たり・後味の飲み比べ
飲み比べとして、①香り(アロマ)→②口に含んだ時の質感・甘み→③飲み込んだ後の余韻・苦味という3つのポイントを比べました。この見方で2杯を並べると、違いがくっきり分かりました。
⚫︎V60(透過式・92℃)
口当たりはすらっとしていて軽やか。飲み込んだ後には苦味がしっかり残り、キレのある後味でした。透過式らしく、余分なものが乗らないクリアな一杯という印象です。すっきり飲みたい朝に合いそうです。

⚫︎スイッチ(浸漬式・93℃)
こちらは口に含んだ瞬間からまろやかで柔らかく、甘みをしっかり感じました。同じ豆とは思えないほど角が取れてやさしい味わいです。浸漬式で成分がじっくり出た結果だと思います。ゆっくり味わいたいときに向く一杯でした。

⚫︎比較結果
二つの違いは数値でも明らか。コーヒーの濃さの目安になるTDS(溶けた成分の割合)は、V60の1.33に対しスイッチは1.37。Brixも1.68に対し1.72と、いずれもスイッチの方がわずかに高い数値でした。
つまり、スイッチの方が成分が多く出ていて濃度が高く、それが「まろやか・甘い」という感じ方につながっていたと考えらます。反対にV60は数値が控えめで、「すらっと軽い」という印象と一致しました。舌の感覚だけでなく、数値でも同じ方向を指していたのは、飲み比べをしていて素直に納得できるポイントでした。

【まとめ】クイーンシバはどっちの淹れ方がオススメ?
今回は澤井珈琲のエチオピア豆「クイーンシバ」を、V60(透過式・4:6メソッド)とスイッチ(浸漬式・HYBRID METHOD)で飲み比べました。要点を整理します。
- クイーンシバはエチオピア産・中深煎り(澤井公式:シティロースト)。落ち着いた香りで、少しスパイシーさもある豆
- V60(透過式)は、すらっと軽く、後味に苦味とキレ。数値も控えめ(TDS1.33)
- スイッチ(浸漬式)は、まろやかで甘い。数値もわずかに高め(TDS1.37)
- 器具・レシピ・湯温が違う「定番2通り」の飲み比べなので、味の差は総合的なもの
淹れ分けの目安としては、キレ良くすっきり飲みたい人はV60、甘みとまろやかさをゆっくり楽しみたい人はスイッチがオススメです。クイーンシバという豆自体は、果実感のある甘みを楽しめるので、甘めのコーヒーが好きな方に向いています。まずはスイッチのまろやかな一杯から試してみて、気分でV60のキレを楽しむ、という使い分けが気に入っています。
同じ澤井珈琲では、イエメンの「モカマタリ」も同じように2つの淹れ方で飲み比べています。気になる方はこちらもどうぞ。

«今回紹介したコーヒー豆»
